★塚本・八雲間の通勤定期券は購入可能なのか?★

塚本・八雲間定期(想像図)

☆はじめに

 「けんちゃんのお部屋」で、スクールランブルの主人公にちなんだ塚本・天満間のICOCA通勤定期が公開されました。
 塚本・天満間は間に一駅しかなく定期券の購入は可能でした。
 今回、

塚本駅から八雲駅までの定期が買えるのか?

ということを勝手に検討してみました。
 ちなみに、塚本駅はJR西日本の駅、八雲駅はJR北海道の駅です(かなり長距離です)。

 なお、塚本・八雲間の片道切符の買い方は、ここを参照してください。

☆本当に通勤定期は買えるのか?

 結論から言いますと、

塚本・八雲間の通勤定期券は、特別な申込書を提出し駅長が許可すれば買えます

 このことは、JR各社の運賃の計算方法などを定めた「旅客営業規則」を見れば書いています。
 旅客営業規則第35条によると、通勤定期の発売は100km以内の鉄道区間と定められています。
 しかし、同第37条では、JRが必要と認めれば、100km以上の通勤定期を発売することがあります。
 そして、その定期券の発売に際して詳細に定めたJR東日本の「旅客営業取扱基準規程」第54条によると、

(1)100kmを超える定期を発売するかは駅長が判断する。
(2)200kmを超える定期を発売する場合は、必要とする理由を書いた「長距離定期乗車券購入申込書」を提出する必要がある。

と定められています。
 よって、これらの規則・規程から、特別な申込書を出して駅長が許可すれば購入が可能です。
 JR東日本の規程を引用しましたが、おそらく他のJRでも同様の内容だと思われます。

☆通勤定期券のルートは?

 定期券が条件付とはいえ買えることが分かりました。
 では、実際に通勤定期のルートを決めましょう。
 ルートの決め方として、目的地までの距離が一番短くなるようにしました。
 各種鉄道ルート検索やJR時刻表による調査により、下記のルートが一番短いことが分かりました。

JR会社

路線名

区間

距離

JR西日本
448.2km

東海道本線 塚本 山科間

51.7km

湖西線 山科 近江塩津間 74.1km
北陸本線 近江塩津 直江津間 322.4km

JR東日本
613.1km

信越本線 直江津 新津間 121.1km
羽越本線 新津 秋田間 271.7km
奥羽本線 秋田 青森間 185.8km
津軽線 青森 中小国間 34.5km

JR北海道
215.9km

津軽海峡線 中小国 木古内間 96.6km
江差線 木古内 五稜郭間 41.6km
函館本線 五稜郭 八雲間 77.7km

合計

1277.2km

☆通勤定期券の金額は?

 では、実際に1ヶ月通勤定期の金額を計算しましょう。
 通勤定期券の金額は、(1)と(2)の合計で計算できます

(1)1277.2km分の「本州3社内の幹線の定期運賃」

 大判のJR時刻表を見れば、定期運賃表というのが載っています。
 しかし、この表は100kmまでしか載っていません。
 では、100kmを超える1277.2km距離の定期運賃をどう計算するかと言いますと、旅客営業規則第97条により、以下のように計算します。

(100kmの「本州3社内の幹線の定期運賃」)×12+(78kmの「本州3社内の幹線の定期運賃」)

 JR時刻表から、100kmと78kmの定期運賃を調べて、上式に入れますと以下の通りになります。

45,350円×12+35,360円=579,560円

(2)JR北海道分の「割増定期料金」

 JR北海道の区間(215.9km)は割り増し料金がかかります。
 これは、旅客営業規則第99条の2(1)により以下のように計算します。

((a)216kmの「JR北海道内の幹線の定期運賃」)−((b)216kmの「本州3社内の幹線の定期運賃」)

 これも、JR北海道分だけで100kmを超えていますので、(1)と同様の方法で計算を行います。

(a)216kmの「JR北海道内の幹線の定期運賃」

 (100kmの「JR北海道内の幹線の定期運賃」)×2+(16kmの「JR北海道内の幹線の定期運賃」)

から計算することから、

54,200円×2+11,200円=119,600円

(b)216kmの「本州3社内の幹線の定期運賃」

 (100kmの「本州3社内の幹線の定期運賃」)×2+(16kmの「本州3社内の幹線の定期運賃」)

から計算することから、

45,350円×2+9,450円=100,150円

 

 (a)と(b)より、割増料金は、

119,600円−100,150円=19,450円

(3)1ヶ月の定期料金

 1ヶ月の通勤定期料金は、(1)と(2)より以下のようになります。

579,560円+19,450円=599,010円

 かろうじて、60万は超えませんでした(笑)。

 なお、同様に3ヶ月定期・6ヶ月定期も計算しました。
 その結果は、以下の通りです。

1ヶ月通勤定期 599,010円
3ヶ月通勤定期 1,707,260円
6ヶ月通勤定期 3,079,250円
(参考)片道切符運賃 14,380円
(参考)往復切符運賃 25,880円

 たかが紙切れが、6ヶ月定期で300万を超えるのですが…(笑)。

☆実際に通勤してみよう!(笑)

 定期券の計算もできましたので、実際に通勤した場合の乗車する列車を調べましょう。
 今回は「定期券でも自由席特急券を買えば、特急に乗車できる」という条件で通勤することにします。
 特急を使用しない場合は後日発表します。

 自宅の最寄駅を塚本駅、勤務地を八雲駅と仮定して2005年3月1日から通勤すると以下の通りになります。

日付 時刻 列車種別 自由席特急料金
2005年
3月1日
塚本発 6:55 普通  
大阪着 6:59
大阪発 7:05 サンダーバード1号 2,310円
金沢着 9:40
金沢発 10:48 北越3号 2,310円
新津着 14:10
新津発 14:18 普通  
新発田着 14:46
新発田発 16:07 いなほ7号 2,420円
青森着 22:02
2005年
3月2日
青森発 7:30 白鳥41号 840円※
五稜郭着 9:20
五稜郭発 9:35 北斗5号 1,100円
八雲着 10:30


八雲で労働に勤しむ(笑)
 

八雲発 19:17 スーパー北斗18号 1,100円
五稜郭着 20:09
2005年
3月3日
五稜郭発 7:05 スーパー白鳥10号 840円※
青森着 8:51
青森発 9:57 かもしか2号 1,680円
秋田着 12:32
秋田発 12:49 いなほ10号 1,890円
新発田着 16:09
新発田発 17:07 普通  
新津着 17:36
新津発 18:38 北越10号 2,310円
金沢着 22:03
金沢発 22:39 はくたか22号 1,150円
福井着 23:25
2005年
3月4日
福井発 6:25 サンダーバード2号 2,100円
大阪着 8:28
大阪発 8:34 普通  
塚本着 8:37


自宅休息(笑)
 

特急料金合計

20,050円

※本州内の特急とJR北海道内の特急とを乗り継ぐ場合、津軽海峡線を通る特急の特急料金が半額になります。

 定期券とは別に、20,050円もの特急料金がかかりました(笑)
 これをもとに、1ヶ月通勤すると考えると、8往復できる計算になります。
 本当は、8往復目の最終日は4月1日となるのですが、そこは大目に見てください(笑)。

 では、ここの最後に、往復切符で8往復した場合の金額とを比べてみましょう。

1ヶ月通勤定期券   599,010円
往復切符

25,880円×8=

207,040円
(参考)片道切符 14,380円×2×8= 230,080円

 ※別途自由席特急料金160,400円(=20,050円×8)必要

☆結論

 もうお気づきかと思いますが、あえて結論付けますと、

「定期券は条件付で買えるけど、割高になります」

 規定としては、駅長の判断で買えることになっています。しかし、JR西日本・JR東日本・JR北海道の3社線もまたぐとなると、3社で協議の上でという話になるでしょう。
 そう考えると、この定期券は条件付で買えるとは書いたものの、実際は絶対に買えない定期ですね。ここまで検討して何なんですが。
 まあ、間違っても、長距離定期乗車券購入申込書に書く必要とする理由に、

「能登かわいいよ、能登」

とか書いたら、即却下ですね。逸般人の駅長を除きますが(笑)。
 とりあえず、検討しました。
 JR西日本・JR東日本・JR北海道の上層部に太いパイプをお持ちの方、1回こんな定期を買ってみませんか?
 上層部がうんといえば、買えるでしょうし(笑)。

 もし、この定期券をご購入された方(ネ申)がいらっしゃいましたら、その画像とともにここまでメールしていただけると大変助かります(笑)。

 筆者とHP管理者の切なる願いです。
 本当に買えるかどうかも知りたいですし…。

☆おまけ「塚本・八雲間の回数券は買えるのか?」

 結論:買えません。

 旅客営業規則第39条により、最高300kmまでの回数券しか販売できないことになっています。
 定期券は買えるのに、回数券は買えないっていうのおかしいですね。
 その前に、塚本・八雲間ほどの長距離であれば、往復切符が1割引で買えますので、それで済ますのが正しい選択かと思います(笑)。

☆おまけ2「実際に、塚本・八雲間の定期券を作ってみた」

 …といっても、買う金も根性もないので、フォトショップで細工してみました。
 その画像が、ここです。
 ICOCA定期になっていますが、当然八雲駅がICOCAシステムの範囲外となりますので、実際に買う場合はICOCA定期では売ってくれません。
 あくまで、こんなイメージっていうことで(笑)。

☆Q&A

 掲載していただいたHPなどをもとに、質問対策(?)のQ&Aを用意しました。

(Q1)
 山科〜近江塩津間は湖西線を通るか、東海道線を通るかの2ルートがあるかと思います。
 JRの決まりでは、運賃計算は距離が短い湖西線側で計算して、ルートは東海道線側を通ってもいいはずですが?
 そうすれば、通勤時間の短縮ができるかと思います。
(A1)
 それは切符の場合です(旅客営業規則第69条)。
 定期券の場合は、この条文の適用を受けません。そのため、湖西線側のルートで定期を買った場合は、湖西線を通る必要があります。
 ですから、湖西線経由で買った定期券で東海道線経由で行った場合、車掌にみつかったら、しょっぴかれます。

(Q2)
 Q1で、定期券のルートはすべて確定しないといけないと書いていますが、函館本線にも「大沼公園を通るルート」と「東森を通るルート」があるかと思います。
 今回の定期券ではどのルートを想定していますか?
(A2)
 実は、函館本線の大沼以遠と森以遠とを行き来する場合に限り、切符と同じく最短距離で計算し、どのルートを使って通勤してもよいことになっています(旅客営業規則第69条2)。
 ですから、どっちのルートで通勤しても、車掌にしょっぴかれることはありません。

(Q3)
 塚本駅って、神戸にあるのですか?
(A3)
 大阪市内(住所:大阪市淀川区塚本2丁目)の駅です。
 神戸なのは、委員長(委員ちょではない)です。
 ちなみに八雲駅の所在地は、北海道二海郡八雲町本町です。

(Q4)
 筆者およびHP管理者は、塚本八雲の定期を買おうとしているのですか?
(A4)
 筆者は、買う金も勇気も、塚本八雲や能登麻美子への愛もありません。
 HP管理者は、買う金と勇気はありませんが、塚本八雲への愛は少しある程度で、能登麻美子に対する愛はノーコメントです。
 よって、買えません。
 最初から買う金と勇気と塚本八雲と能登麻美子に対する愛があれば、こんなの調べずに会社休んででもJRのみどりの窓口へ飛び込みで買いに行ってますよ。ええ、まったく(笑)。

(Q5)
 筆者およびHP管理者は紳士ですか?
(A5)
 皆さんの妄想にお任せいたします。
 紳士ですからっ!
 塚本・八雲間の定期券料金は計算しても、播磨・姉ヶ崎(塚本でも可)間の定期料金は計算しません。
 紳士ですからっ!

(Q6)
 旅客営業規則第161条に「定期券では、たとえ自由席特急券を買ったとしても、乗れません」って書いていますが、特急を使用していいのですか?
(A6)
 この条項にも例外規定があって、「別に定める場合を除き」という但し書きがあります。
 その「別に定める場合」ですが、JR東日本の旅客営業取扱基準規程第15条の2によると、定期家乗車券を使用して特急を乗る場合の対象列車、区間、取扱条件などは別に通達すると書かれています。
 「別の通達」は筆者も資料を持っていないので確認できませんでしたが、どの特急が乗車可能かはJR時刻表の列車の時刻が掲載されているところの欄外下に掲載されています。
 それを確認すると、大阪〜八雲間すべてにおいて定期券による特急の乗車(自由席特急券が必要ですが)が認められています。
 よって、定期券が買えたとして通勤する場合、特急を使用して通勤することが可能です。

☆免責

 この定期券購入検討は、素人が規程・規則を読んで解釈しています。
 実際の解釈方法と異なっていたり、記述が間違っている可能性があります。
 この文章によって、いかなる損害を被っても、筆者およびHP管理者などは一切責任がとれません。
 その辺はご了承ください。
 もし、記述や計算の間違いを見つけた場合は、こちらまでメールをください。

☆リンク

 ・西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則
  JR西日本を例に出しましたが、JR各社の営業規則はどこもほとんど同じです(たとえば、JR北海道の旅客営業規則でも、JR東日本固有の運賃ルールが記載されています)。
  「これを見ればJR鉄道運賃のことがすべてわかる!」と言いたいところですが、別表が省略されていますので、これだけでは定期券の料金が計算できません。
  他JRもなぜか別表だけは省略されています。その理由がよく分からないのですが…。

☆参考文献

(1)「東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則・旅客営業取扱基準規程(平成13年2月1日現行)」 運輸研究会編 日本鉄道図書株式会社
(2)「JR時刻表 2005年3月号」 株式会社交通新聞社
 その他、上記リンク先や各種鉄道経路探索ページなどを参考にさせていただきました。

☆謝辞

 このような馬鹿ネタにもかかわらず、各方面のHPでご紹介いただきまして、ありがとうございます。
 100人くらいの方が見ていただけたらと思って書いたネタが、1万ヒットを超えました。
 正直、調べるのに少々時間がかかりましたが、それが報われた気分です。
 でも、何で誰も「定期券が買えて、回数券が買えないんだろう」って思ってくれなかったのでしょうか(笑)。

☆改訂履歴

初版:2005年3月11日
第2版:2005年3月13日 塚本・八雲間定期券、Q&Aなど追加
第3版:2005年3月15日 Q&A、謝辞追加
第4版:2005年3月16日 塚本・八雲間の普通乗車券の買い方へのリンク、Q&A訂正
第5版:2005年3月20日 Q&A追加
第6版:2005年11月11日 塚本駅の住所を訂正(正:淀川区、誤:西淀川区) 塚本の原住民の方(笑)にご指摘を受けました。ありがとうございました。
第7版:2006年4月17日 熊石町との合併により郡の名前が変わったため、山越郡から二海郡に修正