スクールランブル2学期放映終了&交通博物館閉館記念

★東京近郊区間初乗り運賃(130円)最長一筆乗車の可能性について★

暫定版

 

☆はじめに

 JR東日本の路線で、東京近郊区間と指定されている路線があります(東京近郊区間の範囲はここを参照)。
 この東京近郊区間内のみを利用する場合、同じ駅を通らない限りどんなに遠回りしても最短距離の運賃で乗車できます(ただし、遠回りしていいのは、東京近郊区間内だけです )。

 たとえば、東京駅から神田駅まで行く場合を考えます。この区間の運賃は130円(初乗り運賃)です。
 本来なら、最短距離で乗車する必要があるので、山手線の秋葉原・上野方面行きの電車に乗って行く必要があります。
 しかし、両駅とも東京近郊区間にあるので、山手線の品川・渋谷方面行きの電車に乗って1周しても、その途中で新宿で中央線に乗り換えて神田駅に向かっても構いません。
 この「どんなに遠回りしても、最短距離の運賃でOK」という特例を使って、鉄道マニアの中では、「初乗り運賃だけで、なるべく遠回りに電車に乗車」されている方がいます。
 これがいわゆる、「一筆乗車」と言われるものです。
 
 今回、初乗り運賃(130円)で最長となる一筆乗車の経路を考え、これが実際に可能かどうかを検討します。
 東京近郊区間は、東京・神奈川・山梨・群馬・埼玉・栃木・茨城・千葉と広範囲です。この区間内の同じ駅を通ることなく、最長の一筆乗車の経路を考えれば、かなりの距離になります。 しかも、1日で回ることが不可能です。しかし、初乗り運賃の切符の有効期限は1日です。

 なお、今回のネタは、塚本八雲はもとより、スクールランブルに関連するものは一切出てきません

☆結論から先に言います

 初乗り運賃の最長一筆乗車ができるかどうかの結論を先にいいますと、

結論:1泊2日になりますが、初乗り運賃でできます(実際やると、いろいろと問題がありますが…)。

  「130円の切符って、有効期間が1日だけじゃないの?」と言いたくなると思います。
 確かにそうなのですが、実は違うのです(あえて、矛盾した言い方をしています)。
 まず、そのからくりについて、規程を引用して説明します。
 その後に、各サイトを調査した結果の初乗り最長一筆乗車のルートを示します。そして、そのルートで実際に行った場合の想定時刻表を示します。
 最後に、この最長一筆乗車についての感想というよりも、筆者からのお願いを書きます。

☆まずは、旅客営業規則の整理から

 JR東日本の運賃などの取り扱いについては、旅客営業規則に従っています。

1.東京近郊区間に関する規則

 まずは、

 (1)東京近郊区間の範囲
 (2)東京近郊区間内であれば、どんな経路を通ってもよい
 (3)しかし、同じ駅を通ってはいけない

ことを旅客営業規則から確認してみましょう。

 (1)東京近郊区間の範囲

 東京近郊区間は、旅客営業規則第156条(2)イに範囲が定められています。
 ちなみに、新潟近郊区間、大阪近郊区間、福岡近郊区間をあわせて大都市近郊区間と呼んでいます。

 (2)東京近郊区間内であれば、どんな経路を通ってもよい

 この東京近郊区間内を発着する場合、東京近郊区間内であればどんな経路を通ってもよいことは、旅客営業規則第157条2に書かれています。
 この条項から、「東京近郊区間内であれば、どんなに遠回りしてもよい」という解釈ができます。

 (3)しかし、同じ駅を通ってはいけない

 最後に、同じ駅を通ってはいけない理由を説明します。
 これは、同じ駅を通ると旅客営業規則第68条4(1)による「環状線1周」になるからだと推測されます。
 たとえば、御茶ノ水駅から秋葉原駅へ行く場合、

  御茶ノ水→(中央線)→神田→(山手線)→代々木→(中央線)→御茶ノ水→(総武線)→秋葉原

 という経路で向かうとします。見ての通り、御茶ノ水駅を2回通っています。
 この経路は、旅客営業規則第157条2にはまったく抵触していません。
 しかし、御茶ノ水を出発して、また御茶ノ水に戻っているため、同第68条4(1)でいう「環状線1周」となります。
 この場合、「環状線1周となる駅(例では、御茶ノ水駅)で打ち切って計算」を行う必要があります。

 具体的に言いますと、この場合の運賃の計算方法は

  (a)御茶ノ水→(中央線)→神田→(山手線)→代々木→(中央線)→御茶ノ水
  (b)御茶ノ水→(総武線)→秋葉原

 の(a)と(b)それぞれのキロ数を計算して、それぞれの運賃を計算します。
 そして、(a)と(b)の運賃を足しあわせたものが、この経路での運賃となります。
 御茶ノ水駅から秋葉原駅までを遠回りで乗車する場合、乗車する方法によっては運賃が高くなることがお分かりになるかと思います。
 そのため、初乗り運賃で一筆乗車するためには、同じ駅を通らないようにすることによって、「環状線1周」にならないようにする必要があります。
 余分な運賃を取られますから。

2.切符の有効期限に関する規則

 今回の検討のポイントはここになります。

 切符の有効期間は、旅客営業規則第154条(1)によって定められています。
 (1)の但し書きにあるとおり、東京近郊区間内の乗車券の有効期間は1日となります。
 この1日というのは、旅客営業規則第9条により、4月1日の0時0分に買っても、23時59分に買っても、4月2日になったら、有効期間が切れることになります。

 しかし、旅客営業規則第155条によって、有効期間内に駅へ入場すれば、切符は目的地の駅に到着するまで有効になります。ただし、途中下車などはできません。
 ということは、4月1日に1日間のみ有効の切符を買っても、その日のうちに駅へ入場すれば、目的地の駅に向かっていて、途中下車などをしない限り、切符は何日でも有効です。
 23時頃に切符を買って、翌日の1時に目的地の駅へ着いてその切符を渡しても、文句は言われないのは、この第155条があるからです。
 もし、第155条の条項がなければ、この場合、有効期限切れの切符を使用していることになりますから。
 蛇足になりますが、第155条は切符だけに適用されるだけでなく、定期券、回数券にも適用されます。第155条で「乗車券」と書かれており、乗車券には、定期券も回数券も含まれます(旅客営業規則第18条)。

 余談ですが、塚本・八雲間定期で1ヶ月定期で何往復できるかを検討した時に 3月1日から4月1日まで使っていますが、改札に出なければ、これはこれで問題ないと言えます。

切符・定期券の有効期限内に駅構内へ入りさえすれば、駅から出ないで目的地に向かっている限り、何日でも有効

となるわけです。

 今回、初乗り運賃で最長一筆乗車を検討するために、旅客営業規則第155条を利用します(JR東日本から見れば、悪用なのかもしれませんが)。 

☆初乗り運賃での最長と思われる一筆乗車の経路

 東京近郊区間の初乗り運賃での最長と思われる一筆乗車の経路は以下の通りです。
 これは、わらしべ長者町様の東京近郊大回りサイトの情報をもとに、整理してみました。

 ○上野・西日暮里間○

路線名

区間

距離

東北本線・常磐線 上野 新松戸間

22.9km

武蔵野線 新松戸 南浦和間 25.8km
東北本線 南浦和 赤羽間 9.3km
埼京線 赤羽 武蔵浦和間 10.6km
武蔵野線 武蔵浦和  西国分寺間 25.9km
中央本線 西国分寺 立川間 4.7km
南武線 立川 尻手間 33.8km
南武線 尻手 浜川崎間 4.1km
鶴見線 浜川崎 鶴見間 5.7km
京浜東北線 川崎 品川間 14.9km
横須賀線 品川 横浜間 24.9km
根岸線 横浜 大船間 22.1km
東海道本線 大船 茅ヶ崎間 12.1km
相模線 茅ヶ崎 橋本間 33.3km
横浜線 橋本 八王子間 8.8km
八高線 八王子 高麗川間 31.1km
川越線 高麗川 大宮間 30.6km
高崎線 大宮 高崎間 74.7km
上越線・両毛線 高崎 小山間 91.7km
水戸線 小山 友部間 50.2km
常磐線 友部 我孫子間 67.5km
成田線 我孫子 佐倉間 46.0km
総武本線 佐倉 成東間 21.6km
東金線 成東 大綱間 13.8km
外房線 大綱 千葉間 22.9km
総武本線 千葉 西船橋間 18.6km
武蔵野線 西船橋 南船橋間 5.4km
京葉線 南船橋 東京間 26.0km
総武本線 東京 錦糸町間 4.8km
総武本線 錦糸町 秋葉原間 3.4km
山手線 秋葉原 神田間 0.7km
中央本線 神田 新宿間 9.0km
山手線 新宿 西日暮里間 10.8km

合計

787.7km

☆実際に一筆乗車をしたときの時間を調べよう!(笑)

 経路が分かりましたので、実際に一筆乗車をしたときの時間を考えてみましょう。

 平日に一筆乗車をすると、以下の通りになります。
 見ての通り、1日で回ることが不可能です。

  時刻 列車種別
平日

1日目

上野発 4:30 常磐線快速
松戸着 4:50
松戸発 5:08 常磐線各駅停車
新松戸着 5:14
新松戸発  5:35 武蔵野線各駅停車
南浦和着  6:01
南浦和発 6:07 京浜東北線各駅停車
赤羽着  6:19
赤羽発 6:25 埼京線各駅停車
武蔵浦和着 6:39
武蔵浦和発 6:48 武蔵野線各駅停車
西国分寺着 7:14
西国分寺発 7:21 中央線快速
立川着 7:27
立川発 7:34 南武線各駅停車
尻手着  8:29
尻手発 8:50 南武線各駅停車
浜川崎着  8:57
浜川崎発 9:20 鶴見線各駅停車
鶴見着 9:33
鶴見発 9:38 京浜東北線各駅停車
品川着  9:56
品川発 10:12 横須賀線各駅停車
横浜着 10:33
横浜発 10:42 根岸線各駅停車
大船着 11:12
大船発 11:25 東海道本線
茅ヶ崎着 11:36
茅ヶ崎発 11:47 相模線各駅停車
橋本着 12:44
橋本発 12:49 横浜線各駅停車
八王子着 13:00
八王子発 13:09 八高線各駅停車
高麗川着 13:50
高麗川発 13:52 川越線各駅停車
川越着 14:12
川越発 14:15 埼京線快速
大宮着 14:34
大宮発 14:41 高崎線
高崎着 15:53
高崎発 16:37 両毛線各駅停車
小山着 18:21
小山発 18:39 水戸線各駅停車
友部着 19:40
友部発 20:26 常磐線各駅停車
我孫子着 21:52
我孫子発 22:14 成田線各駅停車
成田着 22:54
成田発 23:13 成田線各駅停車
佐倉着 23:27
佐倉発 0:08 総武本線各駅停車
成東着 0:33
平日

2日目

成東発 4:56 東金線各駅停車
大網着 5:14
大網発 5:18 外房線各駅停車
千葉着 5:42
千葉発 5:52 総武線各駅停車
西船橋着 6:16
西船橋発 6:29 武蔵野線各駅停車
南船橋着 6:34
南船橋発 6:42 京葉線各駅停車
東京着 7:19
東京発 7:33 総武線快速
錦糸町着 7:41
錦糸町発 7:44 総武線各駅停車
秋葉原着 7:51
秋葉原発 7:54 山手線各駅停車
神田着  7:56
神田発 7:58 中央本線快速
新宿着  8:10
新宿発 8:16 山手線各駅停車
西日暮里着 8:35

☆とは言うものの…

 実際にこのルートで1泊2日の一筆乗車が可能かというと、以下の問題があるかと思います。

1.成東駅で1泊させてくれるのか?

 東京駅などの24時間営業の駅なら問題ありませんが、24時間電車が走っていない成東駅構内で1泊させてくれるのかが疑問です。
 無理な場合、24時間営業の駅で1泊できるようにルートなどを見直す必要があります。

2.誰がどう見ても、不正乗車にしか見えない(苦笑)

 仮にここで紹介した解釈が正しいとしても、100%、JR東日本の社員が納得してくれないでしょう。
 初乗り料金で1泊2日ですから、どう考えても、不正乗車しているようにしか見えません。
 万が一行う場合は、客観的に見て、不正を行っていないことを客が証明する必要があるでしょう。
 1日で行う一筆乗車の場合、ルートを示した図などがあればOKですが、この一筆乗車を納得してもらえるほどの証明をどうすればできるのか私には分かりません。
 一応、JR東日本の旅客営業取扱基準規程第5条には、
 「旅客の取扱上適用する規程について疑いが生じたときは、旅客の利益となるように解釈し、又は利益となる規程を適用したのち、その詳細を支社長に報告しなければならない」
とあります。JR東日本としては、旅客が不利になるような基準規程の適用はできないようになっています。あくまで、規程上の話ですが。

 以上のことから、

規程上問題ないと思いますが、駅員とのトラブルの元になるのは目に見えていますので、この記事の通りにしないでください

と筆者から言っておきます。  
 やるなら、事前にJR東日本の事前承諾を得てやる方がよいでしょう。

☆Q&A

 準備中です。

☆免責

 この東京近郊区間初乗り運賃最長一筆乗車は、素人が規程・規則を読んで解釈しています。
 実際の解釈方法と異なっていたり、記述が間違っている可能性があります。
 また、最長一筆乗車の経路を示していますが、本当に各種規程類に抵触していないことを100%保証できません(正直、自信がありません)。
 この文章によっていかなる損害を被っても、筆者およびHP管理者などは一切責任がとれません。
 その辺はご了承ください。
 もし、記述や計算の間違い、またはこのHPより長い最長一筆乗車の経路を見つけた場合は、こちらまでメールをください。

☆リンク

 ・東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則
  JR東日本を例に出しましたが、JR各社の営業規則はどこもほとんど同じです(たとえば、JR北海道の旅客営業規則でも、JR東日本固有の運賃ルールが記載されています)。

 ・東京近郊大回り (わらしべ長者町様)
  最長一筆乗車の経路はここのサイトの経路を元に作成しました。作成しましたといっても、ほとんど同じですが。

☆参考文献

(1)「東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則・旅客営業取扱基準規程(平成13年2月1日現行)」 運輸研究会編 日本鉄道図書株式会社
(2)「東京時刻表 2006年6月号」 株式会社交通新聞社
 その他、上記リンク先や各種鉄道経路探索ページなどを参考にさせていただきました。

☆改訂履歴

初版:2006年10月23日
第2版:2006年10月24日 誤字など修正